絶対的なアナーキズム~現実逃避二日目~
たった20年ちょっとの人生ですが
人生訪れた中で一番好きな場所が
葉山です。
一日目に見た海に飽き足らず
二日目も海を見ていました。
AM11:00
朝ホテルをチェックアウトし
電車に乗って逗子へ
葉山には逗子からバスがでていますが
行きは乗らず
お散歩がてら歩きました。
歩いていく中で海はどんどん表情を変えていきます。
葉山の海は
光の海
目的地である美術館へとたどり着いた私は
真っ先にとある場所へ向かいました。
写真では伝わらないかもしれないですが
手前に見える鮮やかな緑が
光の海の中に立っている一本の松が
遠くに見える空と海の溶け合いそうで溶け合わない境界が
一つ一つが
パズルのピースみたいにかっちりはまって
素晴らしい絵になるんです。
この神奈川県立美術館葉山観は美術館から海を眺めることができ
そして砂浜に向かうことができます。
美しい影が地面に落ちる松林を抜け
坂を下ると
いろいろな海があるけれども
日本語ではただ海としか表現できない
海はその名前によってかろうじて統括されながらも
決して屈することはない
陸とはちがって
絶対的な無政府主義を持っているんです。
海に入るまでには時間がかかりました。
そこに私が入ることで
海は変化してしまう。
そんな無駄でバカなことばかり考えていました。
でも、見ていたら、そんな海と一緒になりたくて
靴を脱いで
裾もまくらぬまま
ただただ立って
陸を侵そうとしては、怖気づいて引いていく
そんな彼女を感じていました。
太陽が雲に隠れ、はっと我に返り
このままだと現実に戻れなくなりそうだったので
美術館で、宮崎進という芸術家の展覧会を鑑賞
今までいた海とは対照的に
彼は陸を描いていました。
キャンバスに張られた、赤く塗られた袋の数々
春になり、シベリアの固く凍って死んだ大地から
生命が息吹く瞬間
死という暗く冷たいなかから生が湧き上がり
そしてまた冬がくるという
命の円環の1シーン
展覧会を見終え
葉山を去るのが
名残惜しくて仕方がなくなった
午後三時
私は家へと帰る決心をしました。
心が風邪をひいたとき
真っ暗闇のなかで
出口の方向はわかっているのに
そこに光がないから
進むにも進めない
そんな状態になります。
でも
今回の旅で
海がすこしだけ
光をくれた
そんな気がします。